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誕生


Q:もうじき40週目に入ります。出産がうまくいくだろうか、痛みに耐えられるのかどうかと、あれこれ考え過ぎてしまいます。陣痛に耐える意味があったら教えてください。



A:40週の頃に赤ちゃんの頭は、身長のおよそ4分の1を占めています。これは、進化の過程において人類は大脳皮質が非常に発達し、それを納めるためにたくさんのひだができ、それが神経組織の中に集約されています。そのために頭が大きく成長するのですが、この赤ちゃんの頭は、分娩の時に母親の骨盤の大きさよりも大きくならないで、頭が通ることのできるぎりぎりの大きさといえます。出産は初めてのお母さんと赤ちゃんの共同作業です。陣痛は生まれ出ようとしている赤ちゃんをスムーズに体外へ送り出す時の、母体の痛みですが、お母さんが赤ちゃんの誕生に喜びを持つことによって、痛みが軽減されると言われています。



誕生

 誕生の瞬間にどのような事が起きるのか、わかりやすくするために誕生の過程を二つの段階に分けてみましょう。

1. 母子の身体の中で身体的変化が起きる段階

母体では陣痛が始まるまでに、いろいろな身体的変化が見られますが、これらはほとんど気が付かないうちにどんどん進みます。 陣痛が始まると、それと同時に出産が確実に近づいていることを示す合図が繰り返し送られてきて、 母親は事態に気づかずにはいられなくなります。 つまりこの時点で母親は、自分のからだが出産に向けてなすべきことをするという決定をしたことに気づくのです。

2. 身体的変化が起きて、次の成長へ向かうために心理的適応をする段階

ある母親は、この時点で子どもを自分の体外へ送り出し、分娩の自然な流れに沿っていこうとします。すなわち自分の胎内で時間をかけて育んできたいのちとの別れの時が来たことを受け入れ、子どもの誕生に手を貸し、力を添えてあげようという気持ちになります。このような喜びに満ちた意思があると、筋肉の緊張はほぐれ、子宮筋の収縮が妨げられることもありません。出産の第1段階である子宮口の開口期も順調に進み、短時間で痛みも少なくてすみます。胎児も、血液中の酸素不足によって危機状態に陥る危険を避けることができます。
 その一方で、出産に対して心の準備ができていない母親もいます。出産を恐れて、ほとんど意図的に分娩の自然な流れに逆らおうとするのです。このような心の状態は、からだにも、大きな影響を及ぼします。特に子宮下部の筋肉が緊張してしまうので、子宮口が開くのに時間がかかり、痛みも増しますし、胎児はたったひとりで体外へ出ようともがかなくてはなりません。母親の協力が得られないので、医療の介入が必要になることもしばしばあります。
 母子関係におけるこのようなつまづきは、誕生という過程を、心身両面において深く傷つくトラウマ(心身への外傷体験)へと変えてしまいます。出産に長時間かかり、そして誕生後にはすぐに母親から引き離されてしまうと、胎内から体外への移行の過程が順調にいかなくなってしまいます。               

 誕生という過程は、母子双方にとって、とてもやりがいのある事です。この過程の最後には、 母親はついに自分の子どもと直接会うことができます。子どもを見て、触れて、さらに話しかけることもできます。 生まれたばかりの赤ちゃんもまた、ずっと前から知っていた人をごく近くに感じる事ができるのです。 居場所は以前と違っても、両者の関係は変わりません。この二人は今、以前より良い状態でいっしょにいるのであり、 これからも、人生の重要な体験を分かち合っていくことでしょう。   
             「いのちのひみつ」シルバーナQ.モンタナ-ロ著

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